Zwartboek (2006) / Black Book / ブラックブック

Black Book第二次世界大戦、占領下のオランダを描く

「美しいチューリップと水車のある、のどかな風景の広がるオランダ」―という、日本人の多くが頭に思い描くオランダのイメージとは異なり、この映画はなかなかに迫力のある、暗いスパイ映画です。監督は、『ロボコップ』を製作したポール・バーホーベン(Paul Verhoeven)。オランダに帰ったのち、サイエンス・フィクション映画ではなく、オランダの歴史映画を作ったという監督から祖国オランダへの愛を感じました。ナチス・ドイツの残酷さ・卑劣さ、そして憎しみは更なる憎しみを生む、ということをまざまざと見せつけられます。綺麗事一切なし、血も涙もない本当の「戦争」が表現されています。

ナチス・ドイツの犠牲になったのは

多くのユダヤ人がナチス・ドイツの犠牲になった、というのは歴史の授業等を通し皆学んだことでしょう。しかし、その占領下に置かれた国々もかなり苦しい時を過ごした、ということはあまりスポットが当てられず知らない人も多いかと思います。オランダは、ドイツの占領下に置かれた国のひとつで、この映画では占領されていたオランダの様子と、また侵略への彼らの対抗心が描かれています。主人公のカリス・ファン・ハウテン(Carice van Houten)演じるエリスは、オランダに住むユダヤ人。ドイツ軍のいない土地へ家族とともに逃げようとする途中で、ドイツ軍に見つかり、エリス以外は皆殺しにされてしまいます。しかも、亡くなった犠牲者から金品を奪い取る非道行為を目の当たりにする彼女。ここから彼女のレジスタンス活動が始まります。オランダ人と手を組み、ドイツ人を欺きながら軍の中心に潜入します。

「女性」という新しい目線で

ナチス・ドイツの占領下に置かれた状況や、反ナチス・ドイツ映画として、「カサブランカ(Casablanca, 1942)」や「ナチスが最も恐れた男(Max Manus, 2008)」が挙げられますが、このブラックブックは女性が主人公という点で新しく、女性がその美しさやしたたかさ、賢さを武器に、戦場という男性社会の中心に切り込んでいく様子を描きます。時には仲間とも衝突しながら交渉する逞しい彼女。彼女のように美しくありながらしたたかに生きたいものです。

10年前のマティアス・スーナールツ

嬉しい発見が。若かりし頃のマティアス・スーナールツ(Matthias Schoenaerts)。以前書いたブログ『De rouille et d’os / 君と歩く世界 』で、「ベルギー出身ということなので、もしかするとドイツ語なんかも話せたりしてね・・・。」と推測していたのですが、やはり話せたようです。3カ国語を駆使する彼。さすがです。


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