De rouille et d’os (2012) / 君と歩く世界

君と歩く世界 [DVD]この映画を観ずにして、マティアス・スーナールツ(Matthias Schoenaerts)のファンと言うべきではありませんでした。紳士な役が多い彼が、まさか、こんなに血の気が多いファイターや、(色々な意味で)野獣な役がハマるとは。この映画を観て、マティアスは多くの顔を持つ役者なのだと気付かされました。そして、彼はフランス語が流暢。彼の第一言語でしょうか?ベルギー出身ということなので、もしかするとドイツ語なんかも話せたりしてね・・・。彼を見て、俳優にとって、言語は最強の武器だと感じました。これからの俳優は、英語だけではダメですね。

複数の部門で賞を獲得しているこの映画で、最も多くの賞を受賞したフランスの女優、マリオン・コティヤール(Marion Cotillard)の演技も素晴らしかったです。大怪我を負うシーンの前から、彼女から滲み出る”幸の薄さ”に驚き。演技なのか、彼女が本来持っているものなのか思わず某動画サイトで検証してしまいました。以前から、「フランス映画(この映画はベルギーとの共同製作のようなので、「フランス語圏の映画」というべきか)と、英語圏の映画の違いはどこにあるんだろう」と思っていたのですが、言葉は悪いですが、”不幸感・孤独感”なのではないでしょうか。もっともっと、フランス映画(フランス語圏の映画)を観てみたくなりました。そして、彼女もまた英語が出来る!多彩ですなぁ・・・。(↓英語を話す彼女。)

この映画の一番の良さは、ステファニー(マリオン・コティヤール)の、大怪我を負ってからの心理描写がとてもリアルなところだと思います。大きな傷跡に気が狂うほどのショックを受けた彼女。退院してからも家に閉じこもり、外に出られない日々を過ごします。そんな状況を、アリ(マティアス・スーナールツ)が救います。そして、アリの優しさ(時に粗野な振る舞い)と男らしさが、凍りついた彼女の心を少しずつ溶かしていきます。そして、トラウマになったであろう、シャチの調教師時代の手の動きも再現するまでに精神を持ち直します。

一方で、女遊びが絶えなかったり、カメラを盗んだ罪で家族に悪影響を与えたりして、落ち着きのない日常を生きるアリ。状況を変えようと、本格的にボクシングを始めた矢先、どん底に突き落とされる大事件が彼の身に降りかかります。その時、彼がとった行動とは―。

「失いそうになってから、大切なものに気付く」という、よくありがちなテーマではあるのですが、それが恋愛の本質なのかもしれません。心に染みた映画でした。「今、恋人との関係が良く分からなくなっている・・・」「恋人と、今後、一緒にいるべきかどうか・・・」、という方にとって、この映画が何かヒントになるかもしれません。