It’s Only the End of the World (2016) / たかが世界の終わり

お久しぶりです、Yukimaruです。暑い日が続きますが皆さんいかがお過ごしでしょうか?

私事ですが、引っ越しなどで長らくブログを更新できずにいました。最近少しずつ落ち着いてきたので、筆を執る頻度を増やしていければ良いなと思っています。


本日ご紹介するのは、フランスとカナダの共同制作による『たかが世界の終わり』。

あらすじ

主人公のルイ(ギャスパー・ウリエル)は、限られた余命を伝えに、12年ぶりに帰郷した。母(ナタリー・バイ)と妹(レア・セドゥ)は兄の帰りを心待ちにしていたが、兄のアントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)はルイとの間に見えない、厚い壁を作っていた。

家族のかたち

この映画では、言葉で表すことの難しい、家族の雰囲気やバランスが巧みに描かれています。内容的には全然違うのですが、「男はつらいよ」で伝わってくるような、人情の機微が生き生きと表現されています。

この映画で中心となるのが、兄のアントワーヌの存在。彼は子どもっぽくて、ひねくれ者で、妻(マリオン・コティヤール)が哀れなほどなのですが、映画を観終わって、日に日にその人間らしさにハッとさせられています。

「家族」はその構成員が増えたり減ったりしながら、かたちを変えていくものだと思います。人々は、その変化にある種の「おそれ」を感じるものだと考えています。しかし、規模やかたちが変わっても、決して変わらないものはあるんだよ、と視聴者にエールを送っている映画にも受け取れました。

この映画のシーンは殆どモントリオールで撮影されたようですが、フランスで撮影したのだとばかり思っていました。モントリオールには市街地近辺にしか行ったことがなく、結構栄えているイメージだったのですが、こんな田園地帯もあるのだなと思ったことでした。というか、カナダは広大だから、こういった地域の方が多いのかもしれません。

(Pictures : IMDb)


それでは皆様、良い週末をお過ごしください!

Comme un chef (2012) / シェフ! 〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜

お久しぶりです。最近少し忙しくなり、更新が遅れてしまいました! 忙しくてもスピーディーに書けるようにがんばろうっと。

今回ご紹介するのは、フランス映画『シェフ!』。前回のご紹介したアメリカ映画『シェフ』もオススメなのですが、こちらもフランスらしいユーモアで笑顔になれること間違いなしの映画です。

あらすじ

料理人として働くジャッキー(ミカエル・ユーン)は、「最高の料理で客をもてなしたい」という強いこだわりをレストランのオーナーに理解してもらえず、トラブルメーカーとみなされ仕事を解雇される。妊娠している恋人のベアトリス(ラファエル・アゴゲ)はジャッキーとの結婚を望んでおり、彼に定職につくことを迫る。その後ジャッキーが運良く手にできたのはペンキ屋の仕事だった。

一方、三ツ星レストラン『ラガルド』の一流シェフ、アレクサンドル(ジャン・レノ)は春の新作で成功を収めなければ、15年間守り続けてきたレストランの★の数を一つ減らされるという状況にあった。しかし、アイデアの神様はなかなか降りてこない。そんな時に、彼の重要なアシスタントたちがラガルドを抜けることに。更に、アレクサンドルは娘(サロメ・ステヴナン)の論文発表に出席することを忘れていたため、親子関係も悪化し始める。まさに踏んだり蹴ったりの日々を過ごす中、自分がかつて書いたレシピを忠実に再現したスープと出逢う。驚くべきことに、そのスープを作ったのは1人のペンキ屋だった。

感想

格式高いフランス料理の真面目な話かと思いきや、いろいろとぶっとんでいて笑えました。最もおかしなシーンは、ジャッキーとアレクサンドルが敵のレストランに乗り込むシーン。日本からの要人という設定で2人は舞妓とサムライに扮します。『おいおい、逆に目立つよ!』そして、『日本人に見えないよ!』とツッコミどころ満載。舞妓は「うなぎ、天ぷら」とか呟いてて、突然舞いだしたと思ったらとんでもないことをし始めるしw

全体的な感想としては、ジャッキーが思いのままに生きている様子がおもしろく、ちょっと羨ましくもあり。その奔放さは『男はつらいよ』の寅さんに通じるものがあります。しかし、寅さんと違うところは、割とぷらぷらしていても子どもを作っちゃうところw 非嫡出子(結婚をしない親の間に生まれた子ども)が多いことで有名なフランスですが、なるほど、こういう関係もアリなのね!?

ひと癖ある主人公なのに、なんだか憎めなくて応援してしまいましたw 果たして、ジャッキーは自分の才能を活かせる理想の場所を見つけることが出来るのでしょうか!? そして、アレクサンドルの星の数をかけた闘いと娘との関係はいかに!?

Attila Marcel (2013) / ぼくを探しに

Attila Marcelあらすじ

主人公のポールは、何らかの原因で小さい頃から言葉を発することが出来ません。また、両親は他界。2人のおばと一緒に住んでおり、ピアノの才能を活かし、おばの経営するダンス教室の伴奏をしています。ピアノを弾く彼はいつもつまらなそう。お菓子を食べながら惰性でピアノを弾く毎日。”年に一度のピアノコンクールで優勝してもらいたい”というおばたちの期待に応えるため、義務感でピアノを弾いています。

ある日、同じアパートに住む中年のマダム・プルーストの家へ訪問したポール。マダム・プルーストの家は、まるで植物園のようにハーブや野菜がいっぱい(これがまた素敵)。彼女に自家製植物で作った特製ハーブティーをごちそうしてもらいます。ハーブティを飲んだ数分後、ポールは突然眠りに落ちます。そして、彼の幼少の頃の記憶<両親と過ごした日々>が夢となってあらわれてきます。殆ど忘れてしまった自分の記憶を探しに、ポールは度々マダムの家を訪れるようになります。彼は一体、どのような幼少期を過ごしたのでしょうか。

また、知らなかった過去を知ると同時に、現実でも新たな展開が訪れるポール。おばの友人との食事会で、おばの友人の養子である、中国系の女の子・ミシェルと出会います。突然の「あなた、童貞?」との質問には驚きますが、彼らの素朴なやりとりが微笑ましいです。

個性が光るキャスト

まずは、2人のおばの存在感がすごい。どぎついカラーのアイシャドウに仲良しペアルック。自分の感性に従い、我が道をゆき、甥っ子ポールへの度の過ぎるおせっかいには、大阪のおばちゃんもびっくり(ごめん、大阪のおばちゃん)。いつも彼ををぐいぐいと引っ張ります。「いるいる、こんなうるさいおばちゃん!」なのですが、老若男女に社交ダンスを教えているというのが何とも洒落ている。

そして、主人公。正直言って、何も言葉を発さず、死んだ魚の目をしている彼は気持ち悪いです。この気持ち悪い雰囲気を醸し出せるのはGuillaume Gouixしかいないのではないでしょうか。マダム・プルーストの友人役で、特製ハーブティを飲みに来るサングラスをかけた目の見えないおやじも癖が強い。(下記写真の右)

また、中国系のチェロ弾きの女の子は素朴でキュート。ステレオタイプな中国人ではないところがなかなかおもしろいなあと思いました。

フランスの落ち着いた街並みや、自分の感性に従って生きる登場人物たち。資本主義社会のどたばたした雰囲気を感じさせず、ゆったりと日々を過ごす人々の様子に癒やされる映画です。


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De rouille et d’os (2012) / 君と歩く世界

君と歩く世界 [DVD]この映画を観ずにして、マティアス・スーナールツ(Matthias Schoenaerts)のファンと言うべきではありませんでした。紳士な役が多い彼が、まさか、こんなに血の気が多いファイターや、(色々な意味で)野獣な役がハマるとは。この映画を観て、マティアスは多くの顔を持つ役者なのだと気付かされました。そして、彼はフランス語が流暢。彼の第一言語でしょうか?ベルギー出身ということなので、もしかするとドイツ語なんかも話せたりしてね・・・。彼を見て、俳優にとって、言語は最強の武器だと感じました。これからの俳優は、英語だけではダメですね。

複数の部門で賞を獲得しているこの映画で、最も多くの賞を受賞したフランスの女優、マリオン・コティヤール(Marion Cotillard)の演技も素晴らしかったです。大怪我を負うシーンの前から、彼女から滲み出る”幸の薄さ”に驚き。演技なのか、彼女が本来持っているものなのか思わず某動画サイトで検証してしまいました。以前から、「フランス映画(この映画はベルギーとの共同製作のようなので、「フランス語圏の映画」というべきか)と、英語圏の映画の違いはどこにあるんだろう」と思っていたのですが、言葉は悪いですが、”不幸感・孤独感”なのではないでしょうか。もっともっと、フランス映画(フランス語圏の映画)を観てみたくなりました。そして、彼女もまた英語が出来る!多彩ですなぁ・・・。(↓英語を話す彼女。)

この映画の一番の良さは、ステファニー(マリオン・コティヤール)の、大怪我を負ってからの心理描写がとてもリアルなところだと思います。大きな傷跡に気が狂うほどのショックを受けた彼女。退院してからも家に閉じこもり、外に出られない日々を過ごします。そんな状況を、アリ(マティアス・スーナールツ)が救います。そして、アリの優しさ(時に粗野な振る舞い)と男らしさが、凍りついた彼女の心を少しずつ溶かしていきます。そして、トラウマになったであろう、シャチの調教師時代の手の動きも再現するまでに精神を持ち直します。

一方で、女遊びが絶えなかったり、カメラを盗んだ罪で家族に悪影響を与えたりして、落ち着きのない日常を生きるアリ。状況を変えようと、本格的にボクシングを始めた矢先、どん底に突き落とされる大事件が彼の身に降りかかります。その時、彼がとった行動とは―。

「失いそうになってから、大切なものに気付く」という、よくありがちなテーマではあるのですが、それが恋愛の本質なのかもしれません。心に染みた映画でした。「今、恋人との関係が良く分からなくなっている・・・」「恋人と、今後、一緒にいるべきかどうか・・・」、という方にとって、この映画が何かヒントになるかもしれません。