Spotlight (2015) / スポットライト 世紀のスクープ

あらすじ

 舞台はボストングローブのスポットライトチーム。一つの事件を数ヶ月かけて調査・記事にする調査報道の部署である。

 ボストングローブの局長として赴任してきたマーティ・バロン(リーヴ・シュレイバー)は、カトリック教会の神父が、子どもに性的暴行を行った事件を調査するよう、スポットライトチームに勧める。

 スポットライトの調査には、児童虐待を専門とする弁護士のミッチェル・ガラベディアン(スタンリー・トゥッチ)、被害者のフィル・サヴィアノ(ニール・ハフ)の助言のもと、多くの被害者、容疑者への取材が続けられた。

 調査の中で、教会は神父による性的虐待を隠蔽し続けてきたことが浮き彫りになる。神父の上に位置する大司教・枢機卿も含めた組織ぐるみの隠蔽だった。

スポットライトのメンバー

 ジャーナリストのジレンマ

 この映画ではジャーナリスト特有の苦悩やジレンマがうまく描かれている。

 新鮮な記事を読者に伝えるというのはジャーナリストの役割の一つである。しかし、宗教のようなデリケートな問題については、どういう構成で紙面に記載するか慎重になる必要がある。ボストングローブの表現力、品位が問われる部分である。コミュニティを敵に回しかねない大胆な行動力のみならず、どのような表現をすべきか冷静な判断が必要になるため、非常に頭の切れる人材が求められることが分かる。早く記事にしなければ、他社に先を越され、さらに教会に公開を阻まれる恐れがあるため、マイク(マーク・ラファロ)は、一刻も早い記事の公開を望む。しかし、チームメンバーは、どのようにして隠蔽工作が行われたのか、システムを明らかにするべきであるという。考え方の違いを互いに認めあえず、チーム内で衝突が起きるシーンも。

 もう一つの苦悩は、そもそもこの事件を取り上げる必要があるかどうかである。事件を取り上げることにより、同じような事件が起こることはなくなるかもしれない。しかし、信者にとって、神父が児童虐待をしているというのは耐え難い事実であり、読者に癒えることのない傷を与えることは目に見えている。それは、果たしてボストングローブの役割なのだろうか。

 スポットライトのメンバーの1人、サーシャ(レイチェル・マクアダムス)の祖母は、毎週教会に通う敬虔な信者である。およそ80年間、教会に通い祈り続けてきた人間にとって、この事件を知ることのインパクトはいかほどのものだろうか。

出演者

 さて、若干重苦しい雰囲気となってきたので次は出演者について語ろう。この映画のキャスティングを見てみると、映画に溶け込む役者が多いという印象。

 マイク役を演じるマーク・ラファロは、映画によって見事に見た目も演技も変わる、カメレオンと呼んでも過言ではない役者だ。他の映画に出演すると、気づかない方もいるだろう。

 ガラべディアン役を演じたスタンリー・トゥッチの演技については以前に称賛のコメントを書いた記憶があるが、スポットライトにおいても、有能な弁護士の役を見事に演じきった。

味のある2人の役者

 そして、この事件にとって、キーパーソンの1人であるサヴィアノ役を演じたニール・ハフに拍手を送りたい。助演の演技力の高さは、映画自体のクオリティを大きく引き上げるということを示してくれている。

 また、サーシャ役を演じるレイチェル・マクアダムスの苦悩を抱える者たちへ向けられる慈悲深い目がとても印象的だった。いくつになっても美しい女性である。

レイチェル・マクアダムス

 振り返ると「この人でなくては務められなかった」という言葉が出てくる。つまり、見事なキャスティングがなされたということだ。キャスティング・ディレクターのケリー・バーデンに拍手。

感想

 トピック自体は非常に重いのだが、観終わった後には重苦しい気持ちにならない。自然に「正義とは?」「報道とは?」という疑問が湧いてくるような作品だ。是非一度ご覧になってはいかがだろうか。

投稿者: yukimaru

映画(洋画)のブログを書いているYukimaruと申します。 数年前、英語の勉強を始めたことをきっかけに、映画を観るようになりました。 3度の飯より洋画が大好き。 と言いたいところですが、食べることも大好きです。 アメリカの映画を中心に、世界各国の気になる映画の記事を書いています。 お気軽にコメントを頂けると幸いです。 ご依頼等ありましたら、コンタクトフォームよりお願いします。 よろしくお願いします。

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