Once (2007) / ONCE ダブリンの街角で

前回ご紹介した「Begin Again (2013)  / はじまりのうた」で、すっかりジョン・カーニー監督のファンになってしまった私。「はじまりのうた」と同じく、これまた主人公がシンガー・ソングライターである「Once (2007)  / ONCE ダブリンの街角で」を鑑賞しました。

あらすじ

ストリート・ミュージシャンの男(Glen Hansard / グレン・ハンサード)は、ダブリンの街角で歌っているとき、一人の女(Markéta Irglová / マルケタ・イルグロヴァ)から声を掛けられる。

女は、男が本業でフーバー(掃除機)の修理をしていることを知り、壊れた掃除機を修理する約束を取り付ける。翌日、本当に掃除機を持ってきた女に男は当初呆れるが、彼女のライフヒストリーと、彼女がピアノを弾いているということを知り、徐々に関心を持ち始める。

感想

この映画のすごいところは、登場人物が演技ではなく現実に会話をしているように見えるところ。とても素朴な演技のおかげで、ストーリーの良さと歌のメッセージ性が際立っています。

もうひとつ驚きなのは、マルケタ・イルグロヴァがこのとき19歳だということ。この落ち着き、まさか10代だとは思わなんだ。

マルケタ・イルグロヴァは移民の役。「移民」というのは、特にヨーロッパにとっては、複雑な問題であると思います。最初のシーンで、移民の男の子が男のギターケースの金を盗むシーンがあるんですけど、海外に行くと、リアルにあんな子います。私もまさに先日のフランス旅で彼のような言葉の訛りを持った男の子にスられかけましたよ。彼らにとっては、失うものなどなにもないんですよね。女も移民の一人で、思ったような生活ができない。周囲には支えてくれる人もいない。そういう現実をこの監督は隠しません。

ジョン・カーニー監督は、手のうちようがなさそうな困難をストーリーのスパイスにして、「楽しいだけでない人生もストーリーになりうる」っていうメッセージを、製作する映像を通して伝えたいのだと思います。

それと、おなじみの日本語タイトル評ですが、英語タイトルの「Once」に「ダブリンの街角で」というのを付けたのは良いと思います。親友がダブリンに留学していたけど、筆者はダブリンに馴染みがなくどんなところか気になっていたのと(めっちゃ個人的なエピソード)、「街角」という言葉のチョイスが良いから。ストーリーが良くても日本語タイトルが残念だと悲しくなる筆者にとっては、タイトルも好きな要素の一つとなって良かったです。

 

Begin Again (2013) / はじまりのうた

先日、写真屋で「Lost Stars」が流れていて、その後、この曲が頭からなかなか離れません。ということで、今回はLost Starsがストーリーの核となっている映画『Begin Again(はじまりのうた)』を紹介します。

はじまりのうた-オリジナル・サウンドトラック

あらすじ

グレタ(Keira Knightley)は、恋人であり作曲のパートナーでもあるデイブ(Adam Levine)の曲が映画に採用されたことをきっかけに、彼とともにニューヨークに引っ越して来る。しかし、ツアー中、デイブは契約した大手レーベルの社員と浮気をする。

デイブのもとを去ったグレタは、音楽繋がりの長年の友人スティーブ(James Corden)を頼ることに。スティーブの出演するライブで、彼に無理やりステージに上げられたグレタは、自分の曲を歌い始める。誰からも見向きもされないグレタの音楽を、一人のみすぼらしい姿をした男が見つめていた。彼の名はダン(Mark Ruffalo)。彼は、自らが立ち上げた大手レーベルを解雇され、家族にも嫌われ、人生のどん底にいた。ダンは誰からも相手にされない彼女の音楽にダイヤの原石を見出す。

感想

Maroon5(アメリカの人気バンド)のアダム・レヴィーンが出ていることで、「商業的なにおいがする」と考えている人もいるんじゃないでしょうか。しかし、彼の役は主人公2人の曲の作り方と対比する形で非常に重要な役です。何かを製作することを生業にする人にとって、大いに共感できるストーリーになっているのではないでしょうか。

主人公2人の演技がナチュラルで秀逸。なぜあんな表情が作れるのでしょうか。彼らの演技に心揺さぶられます。

グレタの友人役のジェームズ・コーデンは、実際ではこんな愉快な人です。

歌唱力ありすぎる…恐るべきジェームズさん。

舞台であるニューヨークの汚さがあのまんまなところもすごく良いですね。現地のにおいがしてきそうな映像作り。本物を追い求める主人公2人の性格と合っています。

「この映画に出会えて良かった」、としみじみ思えた作品でした。

公式サイト(日本語) http://hajimarinouta.com/

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Love & Other Drugs (2010) / ラブ & ドラッグ

あらすじ

ジェイミー(Jake Gyllenhaal)は電器店で働いていたが、女癖の悪さから解雇される。その後、大手製薬会社のファイザーで営業として働き始めたジェイミーは、若年性パーキンソン病を患うマギー(Anne Hathaway)と出会う。体だけの関係を求めるマギーだったが、ジェイミーは段々と彼女に惹かれていく。

感想

ジェイク・ジレンホール、チャラい男が板についてます。だからこそ、切ないストーリーが際立っています。セックスだけの関係だからこそ、心を許せると思ったマギーの計算は狂い、彼女の本当の性格にジェイミーは段々と惹かれていきます。

私の好きなオーストラリアのドラマ『プリーズ・ライク・ミー』で、マイノリティに擦り寄る癖みたいなことをなんとかコンプレックス(どうしても思い出せない!)と呼んでいたけど、ジェイミーもこれかも。多くの日本人は不幸な人から去ったり距離を置こうとする人が多いような気がする。私も海外に住んでいたときに、自分のコンプレックスを初めて吐露できて、だけど多くの人が側にいてくれて、初めて一人じゃないんだって思えたし、人の温かさを感じた。宗教的なものが関係しているのかなぁ。

アン・ハサウェイも、ジェイク・ジレンホールも、目がぎょろっとして、存在感が大きい。この2人、「主役」のオーラがすごい出てる。あと、ジェイミーの兄弟役のジョシュ・ギャッド(Josh Gad)、病院の事務員役のジュディ・グリア(Judy Greer)も脇役としていい味出してる。ジュディ・グリアは脇役としての地位を確立していると思う。

「相手の人生にも責任を持つことってどういうことなんだろう?」という疑問に対し、少しヒントを与えてくれた映画でした。

公式サイト(日本語)
http://video.foxjapan.com/movies/love-drugs/index.html

Chef (2014) / シェフ 三ツ星フードトラック始めました

 

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あらすじ

主人公のカールは、人とのコミュニケーションは苦手だが、料理を作らせたらピカイチの男。ある日、有名な料理評論家がカールの働くレストランに来ることになった。カールは自分のセンスを活かした創作料理を提供したかったが、レストランのオーナーは定番の料理を作るよう強要する。その後、評論家から、つまらない料理だったなどとインターネット上でこき下ろされる羽目に。オーナーのやり方が合わないと感じたカールはレストランを退職することを決意。そして、キューバサンドイッチを提供するフードトラックを始める。

感想

何度も観たこの映画。気に入っている点は色々あるのですが、この映画で一番好きな点はソフィア・ベルガラが登場していることかも(笑)彼女を見ると陽気な気分になれるんです。ドラマ「モダン・ファミリー」でも彼女の存在感は大きい。なんといってもあのスパニッシュ訛り!この映画ではモダン・ファミリーのようなちょっとネジの飛んだ若妻ではなく、キャリアウーマンで主人公カールの元嫁役。

ストーリーも、先日紹介した『ジュリー&ジュリア』のようにキュッとまとまっていて、非常に観やすい。それぞれの役のキャラも立っていておもしろい。

どんな形であれ、自分の作るおいしい料理で人を喜ばすことが自分の使命だと考えているカールの生き方は素敵。ポジティブな気持ちにさせてくれるこの映画を是非観てみてください。

 

 

Her (2013) / her/世界でひとつの彼女

あらすじ

セオドア(Joaquin Phoenix)は妻(Rooney Mara)と別居をしているが、離婚届にサインをすることに踏み切れずにいる。ある日、セオドアは世界初の人工知能を備えたOSを手に入れる。OSは自らを「サマンサ」と名付ける。

感想

主人公とOSのサマンサが親しくなればなるほど、欲求不満な感覚に陥りました。思い出すだけで鬱になる・・・。本当に好きになった人を抱きしめることができないなんて辛すぎますよ。

自分の心を本当に理解し孤独を癒やしてくれるなら、機械であろうと恋に落ちることが可能だ、ということを示唆している映画。だけど、私は恋に落ちたその先が悲劇だと考えるので、やはりOSとの恋は遠慮いたします。

Official website(英語) http://www.herthemovie.com/#/home
Official website(日本語) http://her.asmik-ace.co.jp/

 

Julie & Julia (2009) / ジュリー&ジュリア

ジュリー&ジュリア (字幕版)

あらすじ

ジュリー(Amy Adams)とその夫エリック(Chris Messina)は、ニューヨークに越してきたばかりの新婚カップル。ジュリーが新天地で得た仕事は、9.11同時多発テロに関する一般の人々からの相談窓口、苦情処理。やりがいはあるも、感情移入しやすいジュリーはストレスを溜めてしまう。大学時代の友人との同窓会で、バリバリのキャリアウーマンになった友人たちと自分との違いを思い知る。生きがいとなるものを探したいと考えたジュリーは、料理研究家ジュリア・チャイルド(Meryl Streep)のレシピ本の料理を再現し、ブログに投稿し始める。

感想

ジュリーとジュリアはともに感情表現が豊かで、とってもキュートです。自然でコミカルな彼女たちの表情、言動がおもしろい。キャストも素晴らしいですが、内容も、矛盾のない安定したストーリーラインで安心しながら観ることができました。愛情たっぷりの料理を作るジュリアと、ジュリアの料理への愛を感じながら料理を作るジュリーの素敵な物語です。