The Lunchbox (2013) / めぐり逢わせのお弁当

あらすじ

イラ(Nimrat Kaur)は主人のために、毎日愛情たっぷりのお弁当を作り、「ダッバーワーラー」と呼ばれる弁当配達人に託している。ある日、そのお弁当が間違って退職間近のサージャン(Irrfan Khan)のデスクに届いてしまった。

感想

主人公のインファン・カーンは、非常に深みのある演技をする役者さんだと思います。『スラムドッグ$ミリオネア』では、主人公を拷問にかける警察役を演じました。この映画では、その役とは打って変わって、枯れかけた中年役を演じています。作品によって、色々な顔を持っていそう。他の作品も観てみたいです。

また、もうひとりの主人公、ニムラト・カウルは、演技はさることながら、優しく語りかけるような声が魅力です。インドの女優さんの声といえば、『マダム・イン・ニューヨーク』の主人公、シュリデヴィや、『スラムドッグ$ミリオネア』のフリーダ・ピントの声も素敵。インドではキャスティングの際、演技力だけではなく、声を重視しているのかも。

主人公の後輩(Nawazuddin Siddiqui)も良い味出してます。暗い過去を持っているんだけど、根が明るくて、悲しいシーンもクスッと笑えるようなキャラクター。こういう演技がサラッと出来るのは素晴らしいですね。

また、今まで数々の日本語タイトルのセンスのなさに筆者は悲しんできたわけですが、このタイトルは良いと思います。「『お弁当』が誰と誰を『めぐり逢わせる』の?」、「そもそも外国のお弁当ってどんな感じだろう」と、心惹かれました。

テレビによって、日本人の殆どがインドに対してちょっとネガティブなステレオタイプを持ちがちだと思います(NY出身のインド系アメリカ人、コメディアンで俳優のアジズ・アンザリも時々自嘲気味にこのエピソードを引用する。グローバルにインド人に対する共通認識・固定観念があるのかもしれない)。この映画は、その認識を覆し、我々とインド人との距離を縮めてくれるような作品だと言えるでしょう。

オフィシャルサイト(英語)
http://sonyclassics.com/thelunchbox/home/

オフィシャルサイト(日本語)
http://lunchbox-movie.jp/

 

La La Land (2016) / ラ・ラ・ランド

日本で2017年2月24日公開の『ラ・ラ・ランド』を観に行きました。主演がエマ・ストーンとライアン・ゴズリングという光った演技をする2人なので、日本での公開を楽しみに待っていました。

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あらすじ

ミア(Emma Stone)は女優を目指すべく大学を中退し、ロサンゼルスに移って6年になる。何百回というオーディションを受けるも、一次試験を通ることも出来ずにいる。ある日、友人から誘われたパーティーの帰り、自分の車をレッカー車で撤去されたミア。歩いて帰る途中、レストランから心を揺さぶるようなピアノの音が聴こえてきた。

感想

夢と現実の狭間で揺れ動く、ミアとセバスチャン(Ryan Gosling)。互いに刺激し合って人生の駒を少しずつ前に進めるようすが描かれている。ときに強く、ときに脆い2人の関係が表現されています。

ライアン・ゴズリング、いいっすね。『きみに読む物語』でもそうだったけど、女性絡みで可哀想な男の役が板についてる。エマ・ストーンは、個人的に好きな女優なのですが、ミア役で良かったのか正直分からない。『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜や『ラブ・アゲイン』のように、安定した地位の中での奔放さを持つ役が似合う女優だと思います。

(2017年2月27日追記)
エマ・ストーン、オスカー取りました。その他、6部門で受賞が決まりました。

オフィシャルサイト(英語) http://www.lalaland.movie/
オフィシャルサイト(日本語) http://gaga.ne.jp/lalaland/

 

Demolition (2015) / 雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

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あらすじ

義父の経営する投資銀行で働くデイビス(Jake Gyllenhaal)は、突然の交通事故で妻(Heather Lind)を亡くす。しかし、どういうわけか悲しみが訪れない。家族や同僚の気遣いから、悲しいのが普通であるとは理解していても、涙が一滴も出ない。

デイビスは、妻が事故後に運ばれた集中治療室の前の自販機を思い出す。その自販機でチョコレートスナックを購入しようとコインを入れたが、なぜか商品が出てこなかった。自販機会社にクレームの手紙を書き始めたデイビスは、クレームに加え、スナックを購入しようとしたときの状況を鮮明に綴る。個人的な話を含む何通かの手紙を自販機会社に送ったある日、カスタマーサービス担当のカレン(Naomi Watts)から電話がくる。

感想

『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレ監督の描く作品。存在感のある二枚目俳優を起用してます。ジェイク・ジレンホール、まじで濃いっす。

他の登場人物では、カレンの子ども役のクリス(Judah Lewis)が良い感じ。子どもであろうが大人であろうが、ああいう我が道をいく人間がすごく好き。そして、ちょっと悪いことしてても、その大胆さを認めてあげる大人が周りにいるのも良いと思う。

相手の死を受け入れ、悲しむという感情がゴールだとしたら、この映画はそのゴールまでの道のりが大きなテーマになっている。デイビスは何かを壊すことによって、妻との思い出がよみがえってきた。そして、それが二度と掴めないものだと気づく。出来れば、相手の生きているときに良き記憶を辿り、相手を思いきり抱きしめることができたら良いですよね。

Official website(日本語) / http://ame-hare-movie.jp/


Breakfast at Tiffany’s (1961) / ティファニーで朝食を

ポスター オードリー・ヘプバーン ティファニーで朝食を PP-30403

あらすじ

ホリー・ゴライトリー(Audrey Hepburn)は富豪と結婚を目論むパーティーガール。彼女の住むアパートに、若手作家ポール・バージャク(George Peppard)が越してくる。その晩、ポールの部屋の寝室に、男に追われているホリーが勝手に上がり込んでくる。

感想

正直、ストーリーや登場人物の性格に掴みどころがなく、分かりにくい物語だなと感じました。奔放なホリーを描きたかったのだろうけど、もう少しティファニーやお金、男選び、もしくは愛する弟と一緒に住むことに対する想いや執着を描いてもよかったのかな、と思います。また、ポールも作家としての何か、「らしさ」みたいなものがあれば、と、すべて私の希望ですが。

しかし、当時のアメリカが分かることがなかなかおもしろいと思います。「メキシコの土地は高すぎて買えない」というシーンと、ホリーが南米からのハンサムな富豪(José Luis de Vilallonga)に嫁ごうとするシーンから、中米以南が、少なくともホリーにとっては、生活の基盤を作る場所として映っていたように思えます。アメリカ人にとって、他国に行くことで安定を求める時代もあったのですね(あぁ、無知だねえ)。

内容とは逸れますが、日本人役のユニオシ(Mickey Rooney)の存在が人種差別的だと議論を呼んだそうです。私としては、映画にザ・ドリフターズのようなコミカルさを取り入れたかっただけかと思ったのですが。こういう感じ方も、時代が変わったということなのでしょうか。

ストーリーは混沌とし、現実感もあまりない映画ですが、美しい音楽とニューヨークの景観、そして俳優たちが、名作へと引っ張っていっている印象を受ける映画でした。

 

Up in the Air (2009) / マイレージ、マイライフ

Up in the Air

あらすじ

主人公ライアン(George Clooney)は、取引先に赴き、人員整理による解雇を社員に通告するプロフェッショナル。アメリカを飛び回り、今日も非情な宣告を行う。

感想

ジョージ・クルーニー、セクシーなおやじになりました。『素晴らしき日(One Fine Day)』では、二枚目と三枚目が混在した青年という感じ。これが「いい年のとり方」ってやつか。

アナ・ケンドリックは演じていないとき、勝ち気すぎて私はあまり好きになれないのですが、自然体な演技と、若者のエネルギーを感じさせるところが人気の理由かなと思います。この映画では、教育係のライアン(ジョージ・クルーニー)に「あんたは12歳よ!」と言い放つのがちょっとスカッとした。

「冷徹な主人公だなぁ」と思いつつ観ていたら、ライアンも人並みに家族との関係で悩んだり、家族から結婚への圧力を感じていたりと、人間らしい一面を見せます。その点がこの映画のおもしろさの一つだと思います。解雇通告の専門会社というのは本当に存在するのかな?あるとしたらあまり働きたくないなあ・・・。人々を地獄に突き落とす仕事を、ライアンはどう捉えているのか、最後の最後になんとなくわかります。

ジョージ・クルーニーはもうすぐ父になるようですね。おめでとう!

 

 

Slumdog Millionaire (2008) / スラムドッグ$ミリオネア

"Slumdog Millionaire" (Scholastic Readers)

あらすじ

主人公のシャマール(Dev Patel)は、インドで人気のクイズ番組『スラムドッグ・ミリオネア』に出演し、幅広いジャンルの問題に次々と正解する。スラム出身にもかかわらず、最終問題を残し、すべての問題に正解したことを不審に思った司会者は、彼を拷問にかけ、不正行為を暴こうとする。しかし、シャマールはインチキなどしていなかった。クイズの答えは、彼が生きてきた経験の中に、喜怒哀楽の記憶とともに確かに刻まれているのだった。

感想

この映画の1番の魅力は、クイズの各問題に正解する理由を、シャマールの一つひとつの経験と結びつけていくというユニークなストーリー構成だと思います!

また、インド社会の裏側がわかるのもおもしろいです。インドはIT分野を中心に優秀な人材を輩出する国家というイメージが大きいですが、見えないところで暴力や不正が存在していた(現在も?)ということがわかります。また、映画の中で、スラム出身の孤児は、犯罪に加担するか、もしくは人身売買を「され」なければ生きていくことが困難ということをほのめかしています。

主演のデーヴ・パテールは、今年のアカデミー賞で6部門にノミネートされている「LION/ライオン ~25年目のただいま~」(4月7日公開予定)の主役、サルーを演じます。彼を世界で一躍有名にした『スラムドッグ$ミリオネア』をぜひご覧ください。

Erin Brockovich (2000) / エリン・ブロコビッチ

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あらすじ

エリン・ブロコビッチ(Julia Roberts)は3人の子どもを持つシングルマザー。学歴・職歴がないため、どこにも就職できずにいる。ある面接の帰りに、不運にも交通事故に遭う。治療費を得るため訴訟を起こしたエリンは、相手の追突による事故にもかかわらず、自らの失言により負けてしまう。多額の治療費と、生活費の請求書の山を抱えるエリンは、裁判で世話になった弁護人エド(Albert Finney)の事務所で強引に働き始めることに。右も左も分からないエリンは、裁判や紛争の資料の束に目を通す。その中に、PG&E社の不動産買い取りの書類を見つける。一緒に添付されている健康診断書にどんな関わりがあるのか疑問に思ったエリンは、一人で調査を始める。それはアメリカで最も大きな公害訴訟につながっていく。

感想

人間模様がぎゅっと凝縮された、めちゃくちゃ内容が濃い映画。訴訟を起こされかけるPG&Eは、エリンの働く片田舎の小さな法律事務所を脅しにかかります。自分たちの排出する六価クロムは無害だと主張するPG&E。金でものを言わせようとする彼らに、エリンは工場の井戸水をふるまいます。「安全なら飲めるはず」と言い放つエリンと、コップを手に固まるPG&Eの社員のシーンは本当にスカッとします。

この映画で忘れてはならないのは、バリバリ働くシングルマザーとなったエリンを支えるジョージ。子育てに疲れ、エリンと喧嘩しても、決してエリンを見放すことはありません。なんて男前なのだろう・・・。

ストーリー以外でこの映画で気に入っているところは、カメラワーク。もっと言うと、ホッと息をつけるシーンがフェードアウトなところ。フェードアウトって物語のテンポが悪くなる恐れがあると思うんですよ。だけど、この映画でのやり方は絶妙なんですね。

骨太に生きるエリンはめちゃくちゃかっこいいです。ジュリア・ロバーツの迫真の演技がすばらしすぎる。『幸せな教室』とか『食べて、祈って、恋をして』とか生ぬるい役じゃなくて、今回紹介した『エリン・ブロコビッチ』や『プリティ・ウーマン』など、底辺から這い上がる役がすんごいハマる役者さんだと思います。

The F Word (2013) / What if / もしも君に恋したら。

今日紹介するのはダニエル・ラドクリフ主演の『The F Word』。

↑のポスター、すごく可愛くないですか。映画での2人のやりとりもとってもキュートですよ。

あらすじ

主人公のウォレス(Daniel Radcliffe)は、元彼女と講師との浮気現場を見てショックを受け、大学医学部を退学してしまう。長い間部屋にふさぎ込んでいたウォレスは久々に行ったパーティーで、ルームシェアをしているアラン(Adam Driver)のいとこのシャントリー(Zoe Kazan)と出会う。パーティーのあと、シャントリーを家まで送るウォレスは、シャントリーに恋人ベンがいることを知る。ベンは国連で働くエリート。シャントリーに淡い恋心を抱くウォレスだったが、彼ができることは、ベンの長期出張中にシャントリーの寂しさをまぎらわせる友人役を引き受けることだった。

感想

ハリー・ポッターのイメージが強いダニエル・ラドクリフくん。この映画のことは気にはなっていたけれど、長い間観るかどうか迷っていました。なぜなら、ハリー・ポッターのキュートなラドクリフくんのイメージが変わってしまいそうで。しかし、今回、”What if”を観て、ちょっとおじさんになってしまったけど、すてきなイギリス紳士になったラドクリフくんのファンになりました。小さいときの彼と今の彼は別人です。皮肉屋だけど憎めないキャラクターのウォレスを自然体で演じています。シャントリー役のゾーイ・カザンも、20代の仕事とプライベートで感じる葛藤をナチュラルに表現しています。

トロントの紹介

舞台になったトロントは魅力的な街なので、ちょっと紹介。

Ali Baba’s

2人が二回目に出会うミニシアターの横にあるアラブ料理のチェーン店。お手頃価格でアラブ料理を食べることができる。美味しいよ!

ちなみに、ここが2人が行った映画館っぽい。https://tayloronhistory.com/2013/12/30/torontos-old-movie-theatresthe-royal-theatre-the-pylon/

↑の映画館には私も行ったことがあると思って、カナダ人の友人に「私、あの映画館行ったことある!」と宣言しちゃった。検索してみると違う映画館だった・・・(同じ道沿いの「Carlton」という映画館でした)。

The Beach

シャントリーが妹と日光浴をしているシーンと、ウォレスと一夜を過ごすシーンに使われたビーチ。実は、あの海に見えるものは湖です。見た目は海なのに、全然潮の香りがしないんですよ。

ビーチはいろいろありますが、私のおすすめはスカーボロー(Scarborough)という地区のビーチ。泳ぐというより景観を楽しむ場所かな。断崖から見える湖が美しすぎる。晴れた日にどうぞ。

トロントという少しごちゃついてケオティックな街と、クセのある主人公2人の親和性がバッチリ。可愛らしいラブ・ストーリーをぜひ観てみてください。

オフィシャルサイト(英語) http://whatifmovie.com/

X+Y(2014) / 僕と世界の方程式

久しぶりの更新です!
最近忙しくしていて、長期間手を付けられずにいました。

今回紹介するのはこの映画。
ミニシアターで観てきましたよ。

x+y [DVD] by Asa Butterfield

あらすじ

主人公のネイサン(Asa Butterfield)は数学に関しては天才的な能力を発揮するが、幼いころから人付き合いがうまくできずにいた。いつも一緒にいてくれる父親を突然の事故でなくし、ネイサンはますます自分の世界に閉じこもるようになった。ネイサンの母親ジュリー(Sally Hawkins)は、ネイサンが能力を発揮できるよう、7歳のときに数学の高校教師マーティン(Rafe Spall)の特別指導をつけた。マーティンの勧めで、ネイサンは、数学国際オリンピックのメンバーを決める選考合宿に参加することになった。中国チームと合同で行われる台湾でのその合宿で、ネイサンは中国チームのチャン・メイ(Jo Yang)と出会う。初めての土地と、同レベルの天才たちに囲まれて、ひどくプレッシャーを感じる一方、チャン・メイと過ごすうちにネイサンに初めての感情が生まれるのだった。

感想

映画を観ててとっても心地良い気持ちになりました。「アートディレクターってすごいなぁ」と感じることのできる映画でした。イギリスと台湾の対比は、『ロスト・イン・トランスレーション』を思い出しました。きっと欧米の人はこういうの好きね。漢字とかアジア的な電飾とかね。

一番胸にジンときたシーンは、ネイサンの親とのシーン。小さい頃を思い出して胸がギュッとなりました。特に、オリンピックのメダルより、ネイサンの心の成長を願う母ジュリーの言動にはぐっときました。これ以上いうとネタバレになってしまうので、本日はここまで。

オフィシャルサイト(日本語) / http://bokutosekai.com/
BBC FILMS(英語) / http://www.bbc.co.uk/bbcfilms/film/x_plus_y